前職の大手信託銀行では、税理士や司法書士の先生方とご一緒に、お客様のご自宅へ伺う機会が多くありました。電車やバスでの移動中も、いろんなことを教えてくださる姿に触れるうちに、「自分も士業の世界で働きたい」という気持ちが芽生えていきました。ただ、当時お付き合いしていた事務所のなかには、銀行の下請けに近い形で激務に追われている司法書士事務所もありました。転職するなら「川上に立ち、お客様と直接向き合える事務所」を、と考えていました。
結婚を機に新潟へ移住しましたが、当時は希望する士業の求人がほとんどなく、別業界で働きながら次の道を探していた日々。そんな中で目に留まったのが、採用に力を入れていたトラストでした。入社の決め手は、下請け業務に依存せず、お客様と直接向き合う姿勢を大切にしていたこと。そして、幅広い業務を総合的に手がけている点に魅力を感じたからです。面接では代表ら3名が対応し、仕事への想いだけでなく家庭のことも自然に気にかけてくださいました。8年経った今もその印象は変わらず、あの時の選択は間違っていなかったと感じています。
相続チームの仕事は、亡くなった時点を境に、生前の対策と没後の手続きに大きく分かれます。不動産の名義変更や預貯金・株式の承継、遺言や終活のご相談まで、お客様の人生に深く寄り添う仕事です。なかでも私が特に力を入れているのが家族信託で、自分の財産を信頼できる人に託し、将来認知症になっても管理が続けられる仕組みを事前に整えるもの。入社して2年ほど経った頃に立ち上がった業務で、専門資格を取得し、現在はチームで唯一の担当者として対応しています。関東圏に住む子ども世代から、新潟のご両親のために依頼が来るケースも多く、需要の高まりを日々感じています。
難しさはマニュアル化できない点で、家族構成や資産状況、人間関係で最適な形がまったく変わるため、毎回ゼロから考える必要があります。「この方にとって何がベストか」を考え続けるその時間が、私はとても好きなんです。マニュアル化できないからといって、属人化してしまっていては会社として問題なので次の世代に伝えるべく、社内で勉強会を実施しています。
印象に残っているのは、家族信託をゼロから立ち上げたことです。「自由にどうぞ」と任された時、不安より先にワクワクしたのを覚えています。最初20万円で受任した案件が、昨年はこの業務だけで500万円ほどの売上に育ち、ゼロから形にできたという実感は今でも大きな誇りです。最近のやりがいは後輩の成長で、報告の粒度を掴めなかった子が「花が開いた」と感じるほど頼もしくなりました。育成の目標は「自分を超える人をつくること」。代表が掲げる「スタッフとその家族が幸せであり、働きがいがある職場」という理念が裏切られたと感じたことは8年間一度もなく、子どもの急な発熱で休んでも嫌な顔ひとつされません。
これからは、外国人が絡む相続を扱う渉外登記にも挑戦したいと考えています。並行して行政書士の資格取得にも取り組み中。「過去の自分にまだ勝った気がしていない」。そんな野望を胸に、新潟という場所で挑戦を積み上げ続けていきたいと思っています。

